パン製法詳細

パンの製造工程は洋の東西を問わず、生地に機械的外力を与える⇒生地を休憩させる⇒生地を進展させるの繰り返しである。

ミキシング(外力)⇒第一醗酵フロアータイム(休憩伸展)⇒ガス別名抜き外皮内皮入れ替え(外力)⇒第二次醗酵(休憩伸展)⇒ガス抜き別名外皮内皮入れ替え(外力)⇒ベンチタイム(休憩伸展)⇒分割丸目(外力)⇒ねかし(休憩)⇒成型、型込め(外力)⇒ほいろ(休憩伸展)⇒焼き上げ



ミキシング

 ミキシングの注意点は、グルテンが形成される前に材料を均一に混ぜることである。そのために、グルテン形成が少ない低速にてミキシングし、材料の均一化をはかる。
 その次に高速にしてグルテンの形成をはかる。ただし、油脂はグルテンが水を吸い水和が進行した後に加えることが肝要である、なぜならば、グルテン形成前の小麦たんぱく質と油脂が結びつくと水和が阻害され強力なグルテン膜できずパン生地としていわゆるへたったものしか出来なくなる。

ミキシングの成否はパンの口ほどけに重大な影響を及ぼす。理想的な生地は、塊りが無く諸材料が均一に混ざっている状態である。

ミキシングの外的形状変化の過程は下記の如し

1、ミキサーの壁にくっつくべたべた段階
 小麦粉が水を全部吸収して見た目ひとつにまとまった時、
 油脂はこのまとまったときに入れる。

2、ミキサーの壁にくっつかない段階
 1、の段階で見た目ひとつにまとまったら高速でミキシングする
 グルテンと遊離していた水分がすべて吸収された証拠として生地はミキサーの壁にくっつかなくなる。
 フランスパンのように中力でつくる場合はこの段階で油脂を入れ終了する

3、つやなし段階
 生地が弾性を持ってくる、生地表面が乾いてくる、伸展性は少なくダレがない状態⇒完成間近

4、つやあり段階
 生地がチュウインガムのように延び伸展性がよくなってくる、生地表面は乾いたようにはっきり見え
 滑らかなつやともち肌の弾性がでてくる、生地がミキサーから簡単に取り出しやすくなる⇒通常は完成

5、つや消え粘着状態
 生地表面のつやが消え始めミキサーの壁に引っ付く粘着性がでてくる、薄いひも状に延びるようになる。
 角食パンや菓子パンはこの辺が完成

6、ネチャネチャ段階⇒もうだめ練りすぎ段階
 粘着性がつよくなりネチャネチャ弾性もなくなりグニョグニョでミキサーからも出しにくい
 やりすぎ練りすぎで失敗であるが、クラッカーの時はここまで練る場合もある。


醗酵

パンの風味うまみにもっとも関係する大事な工程

醗酵と言う言葉でいえば、通常のパンの醗酵は時間不十分である(完全発酵には60度480時間必要)
よって、醗酵と言うよりはイーストの呼吸作用にて生地のPHをさげグルテンを軟化させ醗酵によって生じるアルコールが
作用してグルテンを改質する。

醗酵生地の物理的要因

1、生地の流動速度を遅くする
2、イーストのガス発生量を大きくする

1、生地の流動速度を遅くするためには


仕上げ工程

 

仕上げは醗酵熟成工程を経た生地を所定の大きさ形に整えていく工程

 

分割、丸目、ねかし(中間ほいろ)、整形、型詰め、ほいろの工程に分かれる。

 

分割⇒パンを仕上げたいサイズにわける

 

丸目、(ラウンダー)⇒分割した生地を球状に丸めながら切断面を内側に丸め込み、乱れたグルテン構造の配列を整える。

 

ねかし(中間ほいろ)、⇒分割によって失われたガスをねかし醗酵によって回復(ガスを含ませる)させるとともにグルテン構造の緩和を行うことによって整形しやすい生地にする

 

整形⇒製品の外観を決定するとともに、外相、内相の物理的特性を決定する。混捏、醗酵を適切に行った生地も、仕上げ工程、整形工程以降はグルテン構造を回復する時間的余裕がないので、整形工程でグルテンを損傷させると製品の良否にそのまま影響する。

 

また、この工程の最中にもイースト醗酵のガス発生で膨張する、そして、整形工程の生地への機械的ストレスによる硬化も継続しておこる。

 

醗酵耐性(寛容性)について

 

ガス保持力の最適期間とガス発生量最大期間を一致させることであり、要約すると下記の如し。

 

熟成不足⇒生地の流動速度(生地だれ速度)>ガス発生速度であり、窯伸び時(オープンスプリング時)にグルテン膜が破れてしまい、いわゆる窯落ちしてしまい、弛緩した厚い気泡膜、厚いクラスト、パン全体が平べったい形になる。

 

熟成最適⇒生地の流動速度(生地だれ速度)=ガス発生速度であり、ほいろ時に生地中に増加するガスのすべてをグルテン膜が破れずに薄い膜に伸展しながら弾力を保ち、窯伸び時にもその性質(抗張力と弾性)は持続し口ほどけのよい薄い気泡膜薄いクラストとなる。

 

熟成過度⇒生地の流動速度(生地だれ速度)<ガス発生速度となり、乾いた表皮は進展性に乏しくクラストに不規則な裂け目ができ、気泡膜とクラストは厚くなる。(口解けの悪い⇒ボサツイタ パンになる)

 

ほいろ 

型詰めした生地を型の大きさまで膨張させる工程⇒第二醗酵、最終醗酵とも言う。

湿度温度を高めたほいろ(焙炉)に入れ最終焼き上げ 体積の7割まで生地を膨張熟成する。

 

 

焼き上げ

 

半固体の流動性のある生地から固体の硬いパンに変化する最終工程である。

ホイロで7割まで膨らませたパン生地をオーブンにて残りの3割を焼きながら窯伸びさせて膨らませる。